悠々人生ビデオ、高岡万葉朗唱の会

若い美人たち、ただし、朗詠はちょっと・・・
いとこ同士という子供達、なかなか元気でよかったよ。
詩吟風に詠った伏木のおじさん。みな、感心して聞き入った。
いかにも当世ギター侍風の若者。とてもすばらしかった。



 富山県の高岡市で、万葉集の全20巻を色々な人
 
たち2000人が、高々と朗唱する会をやっている
 
と聞いて、ふと見に行ってきた。会場は、古城公園
 
という、なかなかそれらしき幽幻な雰囲気のある所
 
だった。その名の通り古城のあった場所で緑が深い
 
お堀に囲まれた史跡の、どうやら昔は内堀だった
 
ような池に、舞台がしつらえてある。そこに参加者
 
が入れ替わり立ち代り現れ、リレー方式で、全巻の
 
4516首を読み上げるという趣向である。
 
 万葉の衣冠束帯を身に着けた人たちが、緑の池面
 
に映える古代風の舞台に上がり、それぞれの節回し
 
で好き勝手に詠んでいる。それがまあ、人それぞれ
 
なのである。例えば坂之上郎女もかくやと思われる
 
美女二人が舞台に登場したかと思うと、その方たち
 
がとんでもない調子はずれの声で詠い出したりした。
 
そうかと思うと、いとこ同士という四人の幼稚園児
 
やら小学校低学年の子やらがちゃんと朗読したり、
 
あるいは本日飛び入りというおじさんが詩吟のよう
 
な調子で詠って拍手喝さいを浴びたりしていた。私
 
が一番感心したのは、ギターを抱えたお兄ちゃんで
 
ある。いきなり登場してギターをかき鳴らしはじめ
 
ささやくような声で歌いだした。もちろん近代的な
 
音階とリズムにはなっているのではあるが、それが
 
実に万葉の歌と調和していたからである。
 
これらを見てよくわかった。和歌は、本来は「歌」
 
なのだと。字として書くだけではなく、案外と、
 
こういう調子で、歌われていたのではないか。まあ
 
それにしても、やはり音痴では駄目だったようだ。
 
 ちなみに、なぜ高岡市がこういうイベントをやっ
 
ているかというと、かつて奈良時代にここに越中国
 
の国府が置かれていて大伴家持が5年間国守として
 
在任していたということにちなんでいるらしい。それ
 
にしてもこれは手間とお金がかからない一方、大勢が
 
参加できて、しかも満足度の高い、秀逸なアイデアの
 
催しである。努力賞モノだと思う。
 
                   (2005年10月12日記)
 




 










October 12, 2005. at Takoka City
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(出典) 背景 (季節の窓 様)