考えてみれば、日本とベトナムとは似ているところがある。東と西の違いがあるとはいえ、いずれも中国文明圏の端に位置する国で、古代から中国の影響を大いに受けてきた。特に今回、ハノイの孔子廟(Van Mieu)を訪れたが、東京にある湯島の聖堂と同じであった。特に歴代の科挙の合格者を石碑に刻んでいるところなど、何とも親しみを感じる。

 それにしても、現代史のベトナムは凄まじい。フランスの植民地からの解放戦争、アメリカとの壮絶な戦いに、いずれも勝利を収めたものの、その過程では大きな犠牲を払い、いまも戦争のつめ痕を残している。日本も明治維新がなければ、あるいは中国の東ではなく西に位置していたら、このベトナムと同じような運命をたどっていたのかもしれない。その意味でこの国には、何かしら同情のような気持ちを抱いてしまうのである。ベトナムの人々は勤勉であるが貧しい。これらは教育と産業振興に力を入れて、早く豊かになってほしい。








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