南アフリカといえば、黒人のアフリカの地に17世紀からオランダの農民(ボーア)が入植して今日のアフリカーンス語を話すボーア人となり、さらにフランス人新教徒(ユグノー)が多く移住した後、1814年のウィーン会議でイギリス領となってからはイギリスから大量の移民がやって来た。また、それに伴ってインド人や特にアジア人が連れて来られて黒人や白人との間にカラードといわれる混血が出現したという、正真正銘の多民族国家である。

 その過程では、アフリカーナと黒人、ボーア人とイギリス人、鉱山経営者と白人鉱山労働者、黒人と白人との対立があり、特に第二次世界大戦後には白人擁護のための悪評高いアパルトヘイト(人種隔離政策)がとられたが、1991年にようやく廃止され、94年には多数派の黒人からネルソン・マンデラ大統領が誕生した。このように複雑な民族構成と悲しい歴史を背景として、新しい歩みをみせようとする国家である。私が訪れたのは、97年であるが、経済の中心地であるヨハネスブルクには多数の貧困者が周辺地域から流入し、中心街の治安が極度に悪化していた頃であった。








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