This is my essay.








 陸上自衛隊に続いて、今度は海上自衛隊の観艦式に行って来た。10月26日(日)のよく晴れた日、朝9時半から横須賀を出港し、午後4時頃に帰港した。いくつかの護衛艦のうち、「しらね(DDH143)」(基準排水量5200トン、速力32ノット、乗員数350名)に乗ることができた。後甲板にヘリコプターを登載できる船とのことで、実際、小泉総理がこれで飛来し、短いながらも印象深い訓辞のあと、また飛び去った。

 しらねは司令部がある船といっても、船内はやはり狭い。階段は急だし、廊下もあちこちに密閉のためのドアがあって、その下をまたがなければならないようになっている。食堂の隣のCPO(先任海曹室)というところに入れてもらって、食事をしたり、海上自衛隊の年間行事のビデオをみていた。

 そうこうしているうちに、三浦半島を抜けて目標海域の相模湾に入り、いよいよ観閲ということになった。先導鑑「むらさめ」を先頭にして、われわれの観閲鑑「しらね」、それからイージス艦の「きりしま」、そして「いかづち」「やまぎり」「ゆうぎり」「はまぎり」という普通の護衛艦が続き、これを観閲部隊という。これらが一列になって航行しているところに、それとは反対方向からやはり縦一列の陣形で受閲部隊というのがやってきて、そのパフォーマンスを見るというものである。

 その受閲部隊の先頭が「たちかぜ(168)」という旗艦で、ついで第1群が「さわかぜ」以下5隻、第2群が「ゆうだち」以下4隻、第3群が潜水艦部隊で「なるしお」以下6隻、第4群が「うらが」以下5隻で掃海部隊、第5群が「くにさき」と「くろべ」、最後の第6群が「やしま」という海上保安庁の巡視船である。そのほか、対潜哨戒機のP3−C、ヘリコプター、水上離着陸機、ホバークラフトなども見られた。

 こうして観閲部隊と受閲部隊とがそれぞれ一列となって相模湾沖合で行き交い、受閲部隊の方が日頃の訓練の成果を見せるというのが本日の趣向である。一列縦隊で進む護衛艦がそれぞれ「ドンッ」という音とともに祝砲を打ち、それから対潜ロケット弾(ボフォース)を発射する。すると今度はIRフレアといって赤外線追尾型ミサイルを回避するための花火のようなものが打ち上げられ、あたり一面に白い雲が煙幕のようにたなびく。次に潜水艦部隊がやってきて、急速潜行と急速浮上を繰り返すので、あっという間に姿が見えなくなったかと思うと、鯨のように海面から飛び出てくる。そしてまた、P3−Cの編隊が飛行してきて、それに続く飛行艇US−1Aが着水したと思ったらすぐに離水して飛び立つといった具合である。

 全体の印象では、装備も何もかも、要するに艦船の護衛と通商路の確保のための潜水艦対策に重点が置かれているなという感じである。私は以前、アメリカ海軍の航空母艦に乗ったことがあるが、そのときに感じたあのピリピリした雰囲気と、すさまじいまでの攻撃力には、とても及ぶものではない。また乗員の皆さんも、人柄がよく平和そのもの。やはりどう見ても、平和憲法の下での平和国家としての自衛力の範囲内にとどまっているなというのが結論であった。願わくば、このような力を使う必要がない時代が続くことを、祈るばかりである。




(平成15年11月 1日著)
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悠々人生・邯鄲の夢





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