悠々人生エッセイ



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 メジロとヒヨドリ( 写 真 )は、こちらから。


1.上野公園のメジロ

 世の中は、中国湖北省の武漢で始まった新型コロナウィルスの話題でもちきりである。特効薬はなく、感染したら肺炎になって死亡することがある。特に、心疾患、糖尿病、ガンなどの基礎疾患を抱えている70歳代以上が危ない、中国では死亡率が20%を超えているというので、世間は神経質になっている。政府は、これは緊急事態だとして、小中高校は、臨時休校となっている。

 私の法律事務所も、ついに在宅勤務を推奨するようになった。とはいえ、会合など出なくてはいけない案件もあるので、出勤の日時を厳選しているところである。その一方、家に一日中いるのも退屈である。そこで、何か被写体はないかと、早朝にカメラを持って上野方面へ行ってみた。

 すると、上野公園の入口右にある交番の脇に、見事な桜が、もう咲いていた。早咲きの「寒桜」という品種である。そこに、ピーヨピピーピッ、ヒーヨ、ヒーヨと騒がしい鳥の鳴き声がする。ああ、ヒヨドリ(鵯)だ。近づいてみようと思ったが、中国人らしき外国人が多くて、万が一その中に新型コロナウィルスを持っている人がいたりしたら大変だと思い、踏みとどまった。残念だが、時節柄、やむを得ない。

 誤解を招いてはいけないので付け加えておくが、私は中国人とは仲良くお付き合いすべきだと思っている。ただ、日本における新型コロナウィルスの流行の初期は、北海道の札幌雪まつりに来た武漢の女性から始まったものだし、東京ではやはり武漢からのツアー客を接待した屋形船の従業員から感染し始めたものである。だから、たまたまこの時期に中国人の方を見掛けると、武漢から来たのではないかと、どうしても警戒心を出てきてしまうのは、やむを得ない。


上野公園のメジロ


上野公園のメジロ


上野公園のメジロ


上野公園のメジロ


 その代わり、その反対側にも寒桜があって満開である。不思議とそこにはあまり人がいない。その桜にもチチッ、チチッという鳴き声がして、小さな鳥が飛び交っている。雀かと思って近づくと、身体の色がウグイス色で、目の周りが白い。これはメジロ(目白)に違いない。その周りには、人が数人いるだけだから、ウィルス防御の観点からは安全そうである。その木の下に陣取って、300ミリの超望遠レンズで撮ってみた。

上野公園のメジロ


上野公園のメジロ


上野公園のメジロ


上野公園のメジロ


 撮影条件は悪い。空が明るいので下から見上げてそのまま撮ると、せっかく美しい鶯色をしているメジロの身体が黒く写る。露出を上げないといけない。ところが、上げすぎると空の青色が出ないし、どこもかしこも白っぽくなって良くない。さじ加減が難しい。また、メジロはとっても早く動いて神出鬼没である。だから、シャッター速度は戦闘機を撮るときに準じて、1250分の1秒とした。1000分の1秒ではまだダメだ。それから、メジロは都合のいいところに来てくれない。せっかく良いポーズだと思ったら、逆さまだ。それでも、しばらく粘りに粘って、下手な鉄砲のごとく何枚も撮って、そのうち何枚かは、まあまあ見られるものとなった。でも、露出は最悪だ。まあ、仕方がない。


2.新宿御苑のヒヨドリ


新宿御苑の寒桜


新宿御苑の寒桜とドコモタワー


 さて、日を変えて今度は新宿御苑に行った。さすがに3月初旬ではまだ寒く、普通の桜は咲いていない。しかし、やはりここにも日本庭園の一角に1本だけ寒桜があり、満開だ。そこにどんな鳥がいるかと思って近づいてみると、ヒヨドリ(鵯)だ。幸い、周りには人があまりいないので、先日のように新型コロナウィルスの心配はしなくてよい。そこで、心置きなく300mの超望遠レンズで撮る。

新宿御苑のヒヨドリ


新宿御苑のヒヨドリ


新宿御苑のヒヨドリ


上野公園のメジロ


 ヒヨドリは、嘴の先から尾の端まで、約30cmほどの中位の大きさの鳥である。体は灰色で、茶色の点々がある。頭はやはり茶色だが、頬に赤褐色のところがあって、それはチャーミングポイントとなっている。下から見上げると胴体が大きくて堂々とした印象を受ける。なんとヒヨドリは、スズメ科なのだそうだ。弱々しくていつも隠れているスズメの印象とは、随分と違う。

新宿御苑のヒヨドリ


新宿御苑のヒヨドリ


新宿御苑のヒヨドリ


 もちろん、枝の上でヒヨドリは、メジロと同じく上空や周囲を警戒している。ただ、メジロのようにいつもキョロキョロしているというわけでもない。堂々と警戒している。一度、下から見上げている私の姿を見て、口を開けて威嚇してきたのには参った。この鳥の性格がきついのか、それとも馬鹿にされたのか。

 気分転換に、新宿御苑大温室に立ち寄った。とりわけ、ヒスイカズラが美しかった。


新宿御苑大温室のヒスイカズラ


 かくして、新型コロナウィルス騒動の中で、平和な半日が暮れていった。週が明けた3月9日、アメリカの株式市場は、リーマンショックを超える史上最大の下げ幅を記録した。株から逃避した資金は、安全資産とされている円に向かって、先週の1ドル111円の水準から、一気に101円台へと、1割も高くなった。国内では、外国人観光客に依存していた北海道などの観光地は売上の大幅ダウンに見舞われ、中国に部品を依存していた製造業は部品が入って来ないから工場が次々とストップする。円高は企業の業績を直撃して、春闘どころではない。私を含めて一般市民はマスクが手に入らず、苛々する。のみならず、先週にはトイレット.ペーパーの買占めが起こったばかりか、米や味噌も品薄となる。一体どこまでこうした混乱が続くのか、全く先が見えない。





(令和元年3月9日著)
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