悠々人生・邯鄲の夢エッセイ








 向島百花園の初夏の花( 写 真 )


 向島百花園の初夏の花を見ようと出かけた。最近では、2015年2011年の秋、2012年の夏に訪れている。東武鉄道の東向島駅で降りて、ゆっくりと歩いていく。今は梅雨の真っ最中だが、どうやら空梅雨のようで、雨はほとんど降らない。紫陽花は必ず咲いているだろうが、ほかにどんな花があるのか楽しみだ。

カリンの実


 浅草経由で向島百花園に到着した。最初に目についたのが、カリンの実だ。まだ真ん丸だが、成長すると楕円形になるらしい。古くから咳止めに使われているらしい。確か、のど飴の成分に入っている。

山吹升麻と熊ン蜂


 さて次は何があるだろうかと思って進んでいくと、白くて長細い花に、熊ン蜂が取り付いている。少し遠目から撮影したが、なかなかこちらに顔を向けてくれない。もっとも、目が合って襲われでもしたら困るので、これくらいでちょうど良いのかもしれない。

山吹升麻と揚羽蝶


 あれあれ、同じ花に、今度は揚羽蝶がやって来た。こちらは、ひらひら飛び回るので、焦点なかなかを合わせられない。やっと蜜を吸うために花にとまったところを撮った。ところで、この花は、何というのだろうか。ネットで「季節の花」を見ると、一番近そうな花が「山吹升麻(やまぶきしょうま)」のようだが、あまり自信がない。

雀


 近くに、雀が飛んできた。さほど警戒せずに、チュンチュンと鳴きながら近くの棒杭にとまったところをパチリと撮った。シャッター速度を早くする暇がなかったので、どうかと思ったが、パソコンで見ると、非常によく写っていたので、大いに満足した。

孟宗竹


 孟宗竹の区域に入ってきた。上を見上げれば日の光を通して見る竹の葉の緑の色のグラデーションが美しいし、下を見ると幹の緑の色が濃いのがこれまた目に染みるようだ。そういえば、先週、鎌倉の竹林の寺である報国禅寺に行ったばかりだった。

花菖蒲


 花菖蒲が、ほんの少しのわずか10輪ほどだけだったけれども、池のほとりに咲いていた。もう少し、あると思ったのに、これは意外だった。帰りに堀切菖蒲園に立ち寄るということも考えたが、またの機会にしよう。

撫子


 ピンクの可憐なこの花は、撫子(なでしこ)だ。私の小さい頃は、田圃の畦道などにいくらでも咲いていた花で、あまり気にも留めなかったものだが、年をとってこうしてみると、なかなか可愛く感じる。

桔梗


 桔梗の花だ。確か、明智光秀の家紋である。日本に古くからある在来種だそうだ。5つの花弁から成る凛とした印象の花だが、つぼみも紙風船のような五角形だから面白い。

紫陽花


紫陽花


紫陽花


紫陽花


 やっと本日のお目当ての紫陽花だ。でも、その生育に適していない土地柄なのか、色合いがボケてしまっていて、色鮮やかな紫陽花には、ほとんどお目にかからなかった。

萩の花


 萩の花が若干咲いていた。こちらの百花園は、秋の季節には萩のトンネルが有名だが、今日現在ではトンネルの両脇にようやく生えかかっているくらいで、まだ天井には萩の木が届いていなかった。

美容柳


 美容柳は、このように黄色の花弁を持ち、中央に黄色い雄蕊がもやもやとある面白い花である。

 唐の時代、安禄山の乱で長安を追われた玄宗皇帝が逃げる途中、やむを得ず最愛の楊貴妃を殺さざるを得なかった。そして乱が収まり、2年後に戻ってきたときの状況を、白楽天はその長恨歌の中で描写している(冒頭の一部だけを引用)。

   帰来池苑皆依旧
   太液芙蓉未央柳
   芙蓉如面柳如眉
   対此如何不涙垂
[以下略]


 (帰ってくると、池も何もかも元の通りだった。太液池の蓮の花、芙蓉宮殿の未央柳。その蓮の花はあたかも楊貴妃の顔のごとく、その柳はまるで楊貴妃の眉のようだ。これを見て、どうして涙がこぼれてくるのを押さえられようか。)

 というように、この歌の中に「未央柳」が出てくる。それが転じて「美容柳」となったようだ。


下野(しもつけ)


 このピンクと白の面白くて可愛い花は、下野(しもつけ)である。調べたら、花名の由来は、下野国(栃木県)で発見されたことにちなむのだそうだ。それにしても、この花を見れば見るほど、もう少し、詩情あふれる名前を付けてあげればよかったのにという気がする。

日光キスゲ


 この黄色いユリのような花は、日光キスゲである。これが一面に咲いている風景は、素晴らしいが、こうしてほんの数輪でも、なかなか優雅で美しい。正式には、禅庭花(ぜんていか)というらしい。

柘榴(ザクロ)


 この赤い花は、実は柘榴(ザクロ)である。秋に来ると、大きな実が成っている。この花は、まだ蕾である。

ホタルブクロ


 ホタルブクロだ。この中に小さな電球でも灯すと、趣味の良いランプ・シェードになりそうだ。

浅草の交差点から見た風景


 最後は、浅草の交差点である。東京スカイツリー、アサヒビールのジョッキと筋斗雲の建物が見える。





(平成28年6月184日著)
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