悠々人生のエッセイ



さくらぽっぷさんのイラストより





  関 連 記 事
 初孫ちゃんの誕生
 初孫ちゃんは1歳
 初孫ちゃんは1歳4ヶ月
 初孫ちゃんは1歳6ヶ月
 初孫ちゃんもうすぐ2歳
 初孫ちゃんは2歳2ヶ月
 初孫ちゃんは3歳4ヶ月
 初孫ちゃんは3歳6ヶ月
 幼稚園からのお便り(1)
10  初孫ちゃんもうすぐ4歳
11  幼稚園からのお便り(2)
12  初孫ちゃん育爺奮闘記
13  初孫ちゃんは4歳3ヶ月
14  初孫ちゃんは4歳6ヶ月
15  孫と暮らす日々


 最近、休日になると、しばしば娘の家に出かけ、両親が仕事で留守の間に家内やシッターさんと一緒に、初孫ちゃんのお相手を務めることがある。そうすると、いやはやもう・・・この子といったら・・・家の中を目まぐるしく動き回り走り回り、歌い踊り、ボールを蹴り、ごっこ遊びをし、時には横たわっている私の腰の上からジャンプする狼藉を働いたりと、一時たりともじっとしていない。昔だったら、「これ、落ち着きなさい」とでも言うところだが、子供というのは遊ぶことが成長する上でとても重要なことだと思うから、せっかく楽しく遊んでいるのに、それを大人が止めてはいけないと考え、敢えて好きなようにさせている。ひと昔前の子育てなら「躾がなっていない」などと言われそうだ。しかし、さすがに私のところへ来て私を蹴るような仕草をしたときには、「これ、それはダメだよ」などと言うと、そこは初々しい幼稚園児らしく「うぇーん」と泣き崩れてしまう。これを見て、これで結構この子は繊細なんだという気が改めてしたりもする。まあいずれにせよ、あまりに礼を失していたり、あるいは危なかったりする場合はしっかり注意するけれど、基本的には放任しているから、本人は好き放題やり放題という有り様だ。しかし、この4歳になるかならないかという年頃は、何にでも興味を示して身の回りを理解しようとする時期なので、基本的にはやりたいようにやらせる、そういう方針で良いと思っている。現に日常の遊びを通じて、みるみるうちに知識と能力が一段と向上していることがよくわかる。そうした中で、初孫ちゃんが通っているインターナショナルスクールの幼稚園から2学期の「お便り」をいただいた。前回のものは大層面白かったが、今回のものには何が書かれているのか、読むのが楽しみだ。


1.社会性と感情の発達

 この子は、引き続き今学期にも大きく成長しました。その意見を言うにしても、また何をしたいかということについても、常に自分の意思を通します。自分でいったん決めたことについては自信があるから、決して他の子に従おうとはしません。また、自分が出来ることについて非常に誇りに思っていて、よく友達や先生に対して、自分で作ったそのたびに違うペーパー・クラフトや書いたものを見せてくれます。それに、おもちゃを替わりばんこに使ったり順番を待ったりすることが出来るようになりました。友達と何か揉め事が起こると、この子はそれについて話しをしたり、皆が満足するようにと、その解決の道(普通は、一緒に遊ぶこと)を考えようとすることが出来るようになりました。それに、ユーモアのセンスがあって、面白い冗談や友達を笑わすお馬鹿な話が好きです。


   SOCIAL & EMOTOINAL DEVELOPMENT
He has continued to show positive growth this term. He is always very independent in both his opinions and in what he wants to do. He does not follow friends as he has confidence in his own decision making. He is always very proud of what he can do, often showing friends and teachers different paper crafts or writing that he has done by himself. He is improving in his ability to share toys and take turns. When there are conflicts, he can talk about the problem and try to think of solution (usually play together) to make everyone happy. He has a great sense of humor as he loves to tell funny jokes and be silly to make his friends laugh.



 全くその通りである。初孫ちゃんは、しっかりと自分の意見を持っている。先日は道を歩いていて、この子が「アリさんがいっぱい近づいてきたから、踏んづけちゃった」というので、「そんなことをしたら、蟻さんが可哀相だよ」というと、「えーっ、アリさんは踏んづけちゃえばいいんだよ」と言って譲らない。確かに自説を曲げないところがある。色々な子供を見て来たベテラン・シッターさんが言うには、この年頃の少し前から第一反抗期と言って、大人の言うことをきかないことが多いのですが、この子の場合はそれに加えて、日本の幼稚園に通っている子とは少し違うところがあります。というのは、インターの幼稚園は、日本の幼稚園と違ってあれはいけない、これはいけないなどということを言わず、またみんなと同じことをするのを強制するようなことは決してしませんから、子供がその分、伸び伸びというか、見方によっては勝手気ままにやることを自然と認めているようなところがあって、その影響も出ている気がします」という。

 確かに、自分の考え方に自信があるようで、いつでもそれを主張している。幼稚園でも、親友のVくんとよく言い合いをするようなことがあるそうだが、先生は日本の幼稚園のように「まあまあ、2人とも仲良く」などとは言わないで、放っておいて、そのたびに自分たちで話し合いをさせて解決させるようだ。なるほど、これが国際標準というものではないかと思い当った。相手の国や会社に悪いから、いちいち議論するのはよそうなどといういかにも日本的なことをやっていては、国際紛争など解決できるものではないし、会社の交渉事がうまくいくはずもない。

 この年頃から、こういうディベートや理屈を考える訓練を積むことは非常に大事なことである。私も、自分の考えをなるべく押し付けないで、こちらから問うたり方針を聞くようにしている。たとえば「こういうのをしようとしているのだけれど、どう思う?」と聞くと、それは・・・だから・・・した方がいいよ」などと明快に答えてくれる。もちろんそれは、子供らしい見方であるが、その反面、こちらがはっとするほど鋭い見方をしているときもある。危ないときには「そんなことをすると、これこれこうなって、危ないよ」と理詰めで説明すると、ああそうかという顔をしている。ただし、眠いときなど、ご機嫌が斜めのときには、なかなか言うことを聞かないときも多い。


2.知性の発達

 この子は、大変な知性を示し、学習することを楽しんでいます。特に読むことについては才能があり、実際にとても良い言葉で読めるので、これによって多くの友達に対し、もっと自分も読めるようになりたいという刺激を与えてくれました。また今学期は、特に音楽がとても好きになり、ピアノとキーボードに大変興味を示しましたし、音楽に合わせて歌ったり踊ったりすることを楽しんでいました。またこの子は、感覚を使う活動が好きで、とりわけ水で遊ぶのが好きです。トイレの水ですら遊んでしまうのです。ロール・プレイも大好きで、多くの友達と、これで遊んでいます。何かの役に扮するのも好きで、たとえばドクターやタクシーの運転手になりきり、想像を膨らませながら小道具をうまく使って演じています。建物も好きで、これは隠れ家とか、この幼稚園だとか、物語を語ってくれます。


   INTELLECUAL DEVELOPMENT
He continues to show great intellect and enjoys learning. He is particularly talented reading and he has inspired many friends to improve their reading skills, as he shows them how good he is at reading words. He has shown a great love for their music this term. He is very interested in the piano and keyboard, and also enjoys singing and dancing to music. He loves sensory activities and is especially excited to play with water. He even loves playing with water in the bathroom sink! He also enjoys role-playing and this is the activity he enjoys most with friends. He loves acting out parts and uses props well to aid his imagination as he pretends to be a doctor or a taxi driver. He also enjoys building and can tell stories what he is building ("This is hid house and this is a Kindergarden…").



 今日はクリスマス・イブだったので、プレゼントとしておもちゃメーカーのブリオ(BRIO)の赤と緑の機関車を持って行った。ちなみにレールの方は、既に一昨年のクリスマスに買ってあげている。今回はその上で動く機関車で、これを初孫ちゃんにうやうやしく進呈したところ、大喜びで包みを開けてくれた。これはもちろん電池で動くものだけれど、ブリオは外国メーカーだから日本の玩具の仕組みと違う構造を採用している。電池を入れるには、いちいち先頭の部分をドライバーで外さなければならない。これはおそらく電池を子供さんたちが誤飲しないように配慮しているからなのだろう。しかし、その分手間がかかるようになった。私が「あれ、ドライバーがないな」とつぶやくと、初孫ちゃんが、あそこにあるよ」と指差したので、そちらを見たら、本当にオレンジ色のドライバーが棚の高いところにあって、ビックリした。それを使って電池を入れて、「あれ、どこを触るんだろう」などと言って説明書探しをやっていたら、 この子が「こうするんだよ」と言ってボタンを適当に触ると、あら不思議、ちゃんと動いて音を出したり、バックまでしたりして、二度ビックリした。この子はなかなか勘が良い。

 また、このレポートにも書かれているとおり、最近は水に凝っている。それも、雨の日の公園の水たまりから、池、果てはトイレやお風呂のタブなど、水や湯にいろんなものを落として、その衝撃で跳ね上がる水しぶきや、その水面に広がる波紋、それから生ずる音を楽しんでいる。何かしら、とてもうれしいのだろう。危なくない限り、何かに熱中しているときは、心ゆくまで飽きるまで、させてあげることにしている。もちろん、急いでいる人や生活に追われている人は、そんな暇はないと思われるだろうが、大人が忍耐強くそのように配慮してあげると、子どもには集中力も付くし、またその子なりに物事の本質をつかめるようになるかもしれないと考えている。

3.身体能力の発達

 この子は、昼食時にしばしば動きまわることがあったのですが、今学期は比較的落ち着いて座っていることが多く、食事中の態度はかなり良くなりました。外に出ると非常に活発で、特に先生というモンスターから逃れるためあっという間に走っていくなど、走る遊びに夢中です。また彼は、ペーパー・クラフトにも夢中で、紙を丸めてそれをテープでとめるなどしています。自然が好きで、ドングリなどの実や木の枝を見つけて、それを水の中に投げ入れています。


   PHYSICAL DEVELOPMENT
He is showing improved eating habits during lunchtimes as he can sit better without moving around. He is very active outside as he loves playing running games, especially running away from the teacher monsters! He loves using his hands to make paper crafts, especially rolling up paper and taping it together.He enjoys exploring nature where he often finds berries, acorns or sticks that he collects or throws in the water!


 このレポートの通り、この子は食事中に立ったり座ったり、日本風にいうと誠に落ち着かない仕草をみせる。家で食事をするときなど、立ったり座ったり、歩き回ったりと、本当に落ち着かない。昔なら、「これこれ、ダメだよ」などと言って無理やり座らせようとしただろうが、幼児ならこんなものだと思い、両親も我々も諦めているし、経験豊富なシッターさんたちも、この年齢ではそういう態度が普通です」と言ってくれている。私と一緒にいるときのこと、お昼になったので、この子と喫茶店に入って何か注文して食べさせようとしたことがある。さすがにそういうときには、歩き回らずに椅子に座っていた。ところがミックスサンドを食べさせようとすると、卵とハムは食べるが、あとのものはいつもの「嫌だ!絶対に嫌だ!」を繰り返す。仕方がないので私がこれから食べようとしていたあんぱんをちょっとだけ、分け与え、「このサンドの野菜を食べたらまたあげる」というと、大きな口を開けて野菜に食いついた。よしよし、とりあえずうまくいったと思い、次に「トマトを食べたらまたあげる」というと、今度もトマトを一口食べ、その調子でアンパンの一部と引き換えに、ローストチキン、玉子、生ハムと、かなり食べてくれた。ふと見ると、私がまだ一口も食べていないあんぱんが、もうほとんどなくなっていた。これが良いのやら悪いのやらわからないが、その後も食欲が出たようでメロンパンにもかぶりついていたから、大人顔負けのボリュームを食べてくれた。そのたびごとに少しずつ飲ませていた水も、コップ一杯すべてを飲み干してしまった。大成功だ・・・ちょっと、私のお腹が空いたけれど・・・。

 その帰り、家のマンションの廊下は、ウナギの寝床と言われるくらいに長い。そこを「おじーさん、走ろうよ」と挑発してくる。負けられないと思い、「よし、駆けっこだ」と言って二人で手を繋いだまま、私は全力疾走する。この子も、最初は私よりも早いくらいだったが、やがてスタミナが切れたようで、だんだんスピードが落ちてくる。そこで「しばらく休もうか」というと、真っ赤になった頬を紅潮させながら、うんうんと頷く。とても満足そうだ。

 この幼稚園からのお便りにもあるが、最近では、紙を丸めてテープで止め、そういう筒をいっぱい作ってそれを繋ぎ合わせて天井まで届くようにしたり、束にして抱えていたり、ともかくそういう遊びが大好きだ。一心不乱にやっているといってもよい。どうかすると、私も手伝わされて、おじーさん、テープをちょっと持ってて」などと指示される。それから、ママに折り紙を教わったようで、それで手裏剣を作って遊んでいる。それがまた、小さい可愛いものから、テープで張り合わせて大きくした紙を折って作った自分の体くらいもあるような大きなものまで、小、中、大、巨大なサイズのものが居間の中に辺り狭しと散らばるようになっているから、すごい。よくこんなに次から次まで作り続けるものだと感心する。それを見て家内と二人で、「今日は建築家みたいだけれど、明日は何屋さんかね」などと笑いながら話している。家内が幼稚園に見に行ったとき、たまたまスポンジに緑の塗料を付けて何かに大きな筒に塗るという遊びをやっていて、最初はこの子も他の子と一緒におそるおそる塗り始めたそうな。そして、ああっ、指に塗料が付いたなどと顔をしかめていたのに、そのうち次第に夢中になって、両手が緑一色になるのも構わずに集中してその筒に塗料を塗りつけていた。家内がふと辺りを見回すと、他の子はみんな飽きて、どこかへ行ってしまい、この子だけがそうやっていたそうな。





(平成24年12月28日著)
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